2017/12/07
2016年1月29日、日銀からマイナス金利導入の発表がありました。では、具体的にマイナス金利とはなんなのか、私たちの生活にはどのような影響があるのかを解説します。
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日銀が発表したマイナス金利とは
私たちが利用している一般の銀行(以下、銀行)は、企業や個人にお金を貸したり、国債等の債権を買ったりすることで、その利息で利益をあげています。そうした貸し出し等に回らなかった余ったお金を日銀に預けています。
今回日銀が発表したマイナス金利とは、銀行が日銀に預けているお金について、金利をマイナス(預けている各銀行がお金を払う)にするというものです。
なぜそのようなことをするのか。それは、預けていることでお金が目減りする事を避けて、銀行が貸し出し等に回す事を促すためです。
しかし、今回は銀行が預けている全てこお金の金利をマイナスにするわけではありません。今まで、0.1%だった金利を、0.1%と0%と-0.1%の3段階にするとしたのです。日銀が試算を発表しましたが、全残高が約260兆円の内訳は、0.1%が210兆円で、0%が40兆円、-0.1%が10兆円と見込んでいるようです。
全体から見れば、直接的なインパクトは少ないと言えます。しかし、大事なのはマイナス金利も実施するというメッセージかと考えます。今後動向次第で、マイナス金利の拡大も考えられます。
これが、今回発表された日銀のマイナス金利についてです。
私たちの生活への影響
では私たちの生活への具体的な影響はどうなるのか。解説していきます。
銀行貯金への影響
現時点では、私たちが銀行に預けているお金の金利が、マイナスになることは無いです。
しかし、限りなく0に近い金利がさらに下がることが予想されます。特に下げる余地が比較的ある(それでも僅かな金利ですが)定期貯金の金利が下がることが予想されます。
また、少しでも利益を確保するために、手数料について値上げがあるかもしれません。
ただし、これ以上マイナス金利が進行すると、本当に私たちが預けている銀行のお金がマイナスになることも視野に入ります。現に、マイナス金利が進んでいるヨーロッパでは、残高の多い預金者を主な対象として金利がマイナスになっているところもあります。
保険への影響
契約する時点で条件を決めて長期の契約となる生命保険や終身保険、養老保険、学資保険などの条件が今後悪くなると考えられます。保険会社が低金利環境での運用が困難になるためです。
また、逆にすでに契約済みの方は、有利な条件での契約となっているはずなので、間違っても簡単に解約しないことをお勧めします。
住宅ローンなどのお金を借りる事への影響
住宅ローンの金利がさらに低下することが考えられます。各銀行で貸し出しに回すお金を増やすためにより一層の競争が生まれるためです。
現にマイナス金利が進んでいるヨーロッパでは、お金を借りると金利を貸す側が払うという現象も一部では起きています。日本では、そこまでいくことは現実的ではありませんが、少なくとも金利の低下はあると考えられます。
個人向け国債への影響
利回りが低下することが予想されます。現に、固定金利である新型窓口販売方式の10年物国債が、新規発売が中止になりました。しばらくの間、新型窓口販売方式での新規発売は無くなると考えられます。
為替への影響
今よりも円が余る状況になるので、円安に向かう力が働きます。
株への影響
上記で見てきたように、銀行や保険会社は利益が減ることが予想されるので、該当会社の株価は下がります。昨年話題となったゆうちょ銀行も、公募価格を下回ってしまいました。
逆に、お金を借りやすくなることで、住宅などの不動産関連の会社は株価が上がります。
全体的にみると、円安やお金を借りやすくなることで各会社の収益はよくなることが予想されるので、株価が上がる方向に力が働きます。
投資信託への影響
元本割れが限りなく低いと考えられていた国内債券型のファンドや公社債投信(MMF・MRF・中国ファンド含む)の低金利の進行で運用が困難になります。元本割れや繰り上げ償還されることもあると考えられます。
現状、運用困難からMMF、中期国際ファンドの新規購入停止が相次いでいます。
特に、確定拠出年金でデフォルトの運用先となっていることが多い点、MRFは証券会社に預けているお金の余資で自動的に買われている点から、今後注視が必要です。
まとめ
以上、各分野での影響をまとめてみました。
現状では、そこまで大きな影響は大きくないと言えます。しかし今後、マイナス金利の長期化や拡大で、影響が増すことも考えれます。
日銀の発表により一層の関心を持っていきましょう。
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